松屋デパートの初売りは1月2日から!(S42.12.31岩手日報)

昭和42年12月31日の岩手日報に掲載されたこの広告は、かつて盛岡市内に存在した老舗百貨店「松屋デパート」の新春初売りを告知するものです。当時の盛岡の年末年始風景を今に伝える貴重な資料として、昭和の商業文化の一端を垣間見ることができます。

広告中央に大きく掲げられた「初売福の市」の文字は、まさに新年の景気づけを象徴する言葉。松屋デパートでは毎年恒例の「吉例新春初売り」として、1月2日午前9時30分からの開店を告知しています。文中では「新しい年が幸多きものとなりますように心からお祈りいたします」と、新年の挨拶文も添えられており、年末特有の丁寧な商いの姿勢が感じられます。

各階の催しものもバラエティに富んでおり、地階では「森永チョコレートお正月セール」や「静岡銘茶初荷セール」、「流霞阿さ開試飲即売会」など、食品を中心とした新春企画が並びます。2階では「新春小間物大会」が開かれ、1階では「婦人セーター均一セール(¥800・¥1000・¥1500)」と、価格帯の明記もされており、初売りらしい価格訴求が印象的です。また、4階では「凧揚げコーナー」が設けられ、詩的なコピーが添えられています。これは今では見られなくなった百貨店の遊び心ある企画です。

さらに、同時開催として隣接の「松屋ストア」(ディスカウントストア業態)では「百点会 一〇〇円均一」が1月2日から4日まで行われ、「おせち料理は奥さまに代わって腕をふるいました」と、当時の家事観を反映する一文も添えられています。

昭和46年に閉店した盛岡松屋デパートですが、この広告には、かつての盛岡の中心商業地における百貨店文化の華やかさと、地域の人々の生活に深く根ざしていた様子が伺えます。盛岡の年始といえば松屋の初売り、そんな時代の空気を思い出させてくれる一枚です。


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