県青少年環境浄化条例が施行(S55.7.1)
昭和55年7月1日から全面施行された県青少年環境浄化条例は、31項目から成る極めて包括的なものであり、その核心はポルノ雑誌をはじめとする有害図書の販売規制と、それに伴う自動販売機の設置届け出制の義務化という2つの大きな柱に支えられていました。図書類の自動販売機については同年4月から先行して届け出制が導入されていましたが、7月の全面施行によって青少年の保護育成が本格的な段階へと移行しました。この条例制定の背景には、出版や表現の自由を不当に制約するのではないかという懸念から生じた県民の議論がありましたが、女子高校生が関わる不適切な事件の表面化などが決定打となり、昭和54年12月に県議会で可決されました。
施行時点において有害図書として指定されたのは、写真集や漫画、小説など114冊に及び、これらを販売する自動販売機は県内外の業者を合わせて計304台存在していました。条例の構成は総則、環境浄化のための自主規制、健全な成長を阻害する行為の規制、県青少年環境浄化審議会、雑則、罰則の6章から成り、図書類の販売業者に対しては、青少年の性感情を刺激したり粗暴な行為を誘発したりする恐れのある図書を、青少年に販売、貸付、閲覧させないよう努める義務を課しています。具体的には、店舗内での区分陳列や、知事の改善要請に従わない場合の公表措置などが定められました。
自動販売機に関する規定はより厳格であり、有害図書を収納すること自体が禁止され、違反した場合には知事による撤去命令が下されます。これに従わない場合は10,000円以下の罰金という刑事罰も設定されました。また、図書自販機を設置する際には氏名や住所の届け出が必須となり、自販機の前面には設置者の情報を表示しなければなりません。図書類以外にも、刃物類の販売業者に対する配慮や、青少年にみだらな行為を教えたり見せたりすることの禁止、さらには深夜23時から午前4時までの間、正当な理由なく青少年を遊技場等に立ち入らせることや連れ出すことの制限も盛り込まれています。
条例の効力を担保するため、知事には立ち入り調査や質問の権限が与えられており、営業時間はもとより、図書の自販機設置場所や刃物類の販売場所などが調査対象となります。もしこの立ち入り調査を拒んだり忌避したりした場合には10,000円以下の罰金が科せられることとなりました。罰則面では、みだらな性行為やわいせつ行為をさせた者に対し、1年以下の懲役または100,000円以下の罰金という最も重い処分が規定されています。この記事は、表現の自由という民主主義の根幹と、次代を担う青少年の健全育成という社会的要請の間で揺れながらも、県が毅然とした法的枠組みを構築した当時の緊迫感を今に伝えています。