東和町小学生殺害事件(S58.4.21)
1983年4月21日
2025年10月21日
昭和58年4月21日、岩手県和賀郡東和町南成島にある岩手県交通のバス停留所待合所で、小学1年生の男児が死亡しているのが発見されました。当初は交通事故による死亡ひき逃げ事件とみられていましたが、遺体の傷や現場状況から他殺の可能性が浮上しました。捜査の結果、現場付近で不審な行動をしていた岩手県立東和高等学校の1年生である15歳の少年が事情聴取され、殺害を自供しました。
少年は、被害者の男児が自転車を蹴倒して挑発する行為に激昂し、履いていた靴で顔を踏みつけた後、柔道着のズボン紐で首を絞め、さらに金属製の凶器で頭部を刺して殺害したと供述しました。この凶器は、少年が漫画の暴力的な描写に影響を受けて自作したもので、日常的に持ち歩いていたことが判明しました。警察は、現場検証と供述が一致したことを根拠に少年を殺人罪で逮捕しました。
事件後、被害者の両親は加害者である少年とその両親を相手取り損害賠償請求訴訟を提起しました。裁判では、加害者の両親が未成年者の監督義務を怠った点に過失があると認定されました。加害者が凶器を日常的に持ち歩いていたことや、短気な性格であることを把握していながら適切な指導をしていなかった点が問題視されました。
判決では、少年の行為に80%、被害者側の挑発行為に20%の責任があるとされ、加害者とその両親に対し、葬儀費用、逸失利益、慰謝料などを含む約2257万円の賠償が命じられました。
この事件は、岩手県警察の迅速な対応と詳細な捜査により短期間で解決されましたが、未成年による凶悪犯罪の背景として家庭環境や暴力的な漫画の影響が議論されるきっかけとなりました。