北東北3県を荒らし回る窃盗犯を逮捕(S59.7.5)

1981年7月21日午前7時30分、岩手県岩手郡葛巻町でスーパーマーケットの金庫に保管されていた売上金116万円が盗まれたと岩手警察署に通報があった。この事件を皮切りに、岩手県内のほか秋田県や宮城県でも同様の窃盗事件が多発。被害対象は主に売上金の多い肉店、魚店、酒店、スーパーマーケットなどで、犯人は裏手の無締まりの窓やベランダから侵入し、金庫の鍵を使用して現金を盗む巧妙な手口を用いた。被害総額は約7,368万円に達した。

1984年1月20日、この連続窃盗事件は「県指定第三号事件」に指定され、岩手県警は合同捜査班を編成。徹底した現場踏査や目撃情報の収集が進められる中、同年5月21日、陸前高田市内の魚店で窃盗未遂事件が発生し、通報を受けた警察が緊急配備を実施。午後10時20分ごろ、高田バイパス南口の検問で青森ナンバーのレンタカーを運転していた男性が職務質問を受けた。この男性が容疑者として浮上し、青森県三戸郡五戸町在住の38歳の男性であることが判明した。

その後、捜査員が青森市内で内偵を進め、7月5日に同市内の駐車場でこの男性を通常逮捕した。取り調べと証拠集めにより、この男性は1981年から1984年にかけて岩手、宮城、秋田の3県を中心に107件の窃盗事件を行い、被害総額は約1億円に上ることが明らかになった。このうち62件、被害総額約8,688万円について立件され、盛岡地方裁判所に送致された。その結果、35件、被害総額約7,900万円について起訴され、懲役4年6か月の判決が下された。控訴は棄却され、刑が確定した。

容疑者は幼少期の貧しい生活環境が動機となり、窃盗を繰り返していた。服役中には被害額の一部(約3,500万円)を弁済したものの、出所後も再犯を重ねている。


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