黄金競馬場で秋競馬(S3.9.2岩手日報)

昭和3年9月、盛岡市の黄金競馬場では秋の競馬が開催され、曇天ながら雨に降られることのない穏やかな天候のもと、一日が静かに過ぎていった。

現在の岩手大学工学部周辺にあたるこの場所には、かつて「黄金競馬場」という馬場が存在し、昭和初期には競馬が年に数度行われていたという。新聞報道によれば、この日の秋競馬には「ファスト」「アサバタマツバキ」「フジハナ」「ホウギョク」「ファスター」「ビリア」といった馬が出走し、それぞれのレースで熱戦が繰り広げられたようだ。

ただし、見出しにもある通り「恵まれたが観衆寂し」とあるように、観客数はそれほど多くはなかった。盛岡の市街地からは若干離れた場所であったことも影響したのかもしれない。

写真には、疾走する騎手と馬の姿が捉えられており、背景には掲示板らしき設備も見える。土のグラウンドに舞う蹄の土煙からは、小規模ながらも本格的な競技の気配が感じ取れる。

今日、岩手県内で競馬といえば水沢や盛岡競馬場(オーロパーク)を思い浮かべる方が多いが、このような「黄金競馬場」の存在は、昭和初期の盛岡に息づいていた競馬文化の一端を静かに物語っている。


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