江刺郡広瀬村の強盗殺人事件(S22.9.14)

昭和22年9月14日、岩手県江刺郡広瀬村(現在の奥州市江刺広瀬)で強盗殺人事件が発生しました。戦後間もない混乱期で治安が悪化していた背景の中、この事件は村全体に恐怖を与えました。

被害者は広瀬村下沢に住む61歳の女性で、綜合配給所を営んでいました。彼女は自宅で窒息死させられた上、暴行を受けた形跡があり、遺体は無残な状態で発見されました。家の中は荒らされ、現金500円や衣料品、日用品などが盗まれていました。

容疑者の3人は、それぞれ農業や炭坑労働に従事していました。彼らは九州や岩手県の炭坑で働いた経験を通じて知り合っています。一人は長崎県佐世保市の炭坑で働いていた際に別の容疑者と知り合い、以降も交友を続けていました。その後、岩手県江刺郡広瀬村の鳴瀬炭坑で再会し、同じ炭坑で働くようになりました。さらに、別の容疑者は福島県で農業に従事しながら炭坑労働者の知人を通じてこの2人と知り合い、金銭的に困窮していた状況から3人で事件を計画するに至りました。

事件当日、彼らは被害者の自宅を襲撃し、食べ物を乞うふりをして近づいた後、暴行を加えて殺害しました。その後、盗んだ物品を持ち去り逃走しましたが、翌日の9月15日、東北本線郡山駅と須賀川駅で警察に逮捕されました。

昭和23年2月3日、盛岡地方裁判所で3人には死刑判決が下されましたが、そのうち2人は控訴し、同年10月26日に仙台高等裁判所で無期懲役に減刑されました。この事件は、戦後の治安の悪化と凶悪犯罪の増加を象徴するものとして記録されています。


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