岩手無尽の広告(S3.9.4岩手日報)

昭和3年9月4日の岩手日報より、当時の「岩手無尽株式会社」(現在の北日本銀行の前身)による広告が掲載されています。

描かれているのは、自然豊かな山々に囲まれた中に佇む立派な木造建築の本店社屋。大きな三角屋根と、正面に丸窓を備えた印象的な建物で、手前には人々の姿も見えます。堂々たるその姿からは、地方の金融機関としての誇りと、地域に根ざした事業姿勢がうかがえます。

建物の上部には「岩手無尽株式会社」、左下には「電話七五七番」と記載されており、時代を感じさせる表現です。無尽会社とは、戦前期において庶民金融の要を担っていた制度であり、貯蓄と融資を兼ねた「積立講」に似た仕組みを持っていました。

この広告を見ると、当時の岩手無尽はまだ都市部ではなく、自然に囲まれた立地に本店を構えていたことがわかります。銀行の近代化が進む以前、こうした場所から地域の経済を支えていた姿が目に浮かびます。

この建物が現存しているかどうかは分かりませんが、北日本銀行の歴史をたどる上で、非常に貴重な資料の一つと言えるでしょう。

 

 


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