福岡町(二戸)から北海道の虻田に出稼ぎに行っていた女性が帰郷(S42.12.2デーリー東北)

昭和42年12月2日の『デーリー東北』より、印象的な出稼ぎ女性たちの帰郷を報じた記事をご紹介します。

かつての出稼ぎというと、首都圏の建設現場や工場へ向かう男性労働者の姿がまず思い浮かびます。しかし昭和40年代の東北では、それだけにとどまらない、もう一つの出稼ぎのかたちがありました。

それが、東北の農村女性たちによる「集団出稼ぎ」。今回の新聞記事は、岩手県二戸郡福岡町(現在の二戸市)の斗米(とまい)地区から、北海道虻田町へ出稼ぎに出た女性たちが8か月ぶりに帰郷した際の様子を伝えています。

彼女たちは、春から秋にかけて虻田町の農家に住み込みで働き、農繁期の労働力として貴重な存在となっていたといいます。記事によれば、虻田町の農家は「福岡町の女性はまじめで、家族同様によく働いてくれる」と、惜しみない称賛を送っていたとのこと。

集合写真には白衣姿の女性たちが並び、まさに農作業の「プロフェッショナル」としての誇りがにじみ出るようです。小田助役ら地元の関係者が出迎える中、女性たちは笑顔であいさつを交わし、地元に凱旋する姿は感慨深いものがあります。

東北の厳しい冬を前に、女性たちは地元に戻り、家族と束の間の再会を喜びつつ、また来年の出稼ぎに備えることとなります。

このような出稼ぎの歴史は、地域の労働力構造や女性の社会的役割を理解するうえで貴重な証言となるでしょう。農村と農村を結ぶ出稼ぎのかたちは、今ではあまり知られていませんが、昭和という時代を生きた人々のたくましさを物語っています。


showa
  • showa

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です