岩手県の新生児死亡率は「ベラボーに高率」(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報より。

記事によると、当時の岩手県では嬰児(乳児)死亡率が他府県に比べて「ベラボーに高率」とされ、深刻な問題として県当局が受け止めていた。具体的な統計数字は掲載されていないものの、その表現から事態の切迫感が伝わってくる。

これに対して岩手県の社会課は、乳児の死亡を防ぐための対応策を打ち出した。主な方針は以下の2点である。

  • 僻地を中心とした産婆(助産婦)の設置の普及
  • 妊産婦保護施設の整備

この施策を実施するにあたり、県は各町村に存在する衛生組合に対して通知を行い、それぞれの組合の資金状態を調査したうえで、実行の可否を検討することとした。

当時の医療インフラは都市部に偏っており、農村や山間部では出産や乳児のケアが十分に行き届いていなかった。そのため、まずは産婆の配置や保護施設の設置といった「最低限の手当て」が求められたのである。

この一件は、昭和初期における地域格差の現実と、地方行政がその克服に向けて動き出した様子を伝えるものであり、岩手県における母子保健の出発点のひとつといえる。


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