大船渡でアワビの畜養を始める(昭和42年12月25日)

1967年(昭和42年)12月25日の岩手日報に、大船渡市でのユニークな取り組みが紹介されています。記事によると、大船渡市千丸海岸にある「大船渡海藻類採苗所」では、既存の採苗水槽を活用してアワビの「畜養」を始めたとのことです。

畜養の対象となったのは、赤崎海岸で採取された天然のアワビ約2トン。これを水槽に移し、昆布などの海藻を餌として与えるという方法で飼育するというものでした。現在で言えば「アワビの養殖」と呼ばれるような試みですが、当時の記事では「養殖」という言葉はまだ一般的ではなかったようで、「畜養」や「人工ノリ」などの表現が用いられていたことが興味深い点です。

この事業は、アワビの安定供給と地域漁業の活性化を目指すもので、大船渡市内における水産業の新たな一歩として注目されたものでした。記事では「採苗所で始めた生アワビの畜養」というキャプション付きの写真も掲載されており、実際に水槽で作業する関係者の様子が写されています。

「養殖」という言葉が浸透する前夜にあった、このような「畜養」の試みは、当時の水産業が技術的・概念的に過渡期にあったことを物語っています。


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