岩手文化投票の中間集計(S4.9.1岩手日報)
1929年9月1日
2025年7月29日
昭和4年の岩手日報には、「岩手文化投票」なるユニークな企画が展開されていたようです。
昭和4年9月1日付の紙面では、その中間集計が大きく掲載されており、県内各地の文化人・団体・機関などに対する投票の様子がうかがえます。
とはいえ、この投票の趣旨や制度の詳細――たとえば、
- 誰が投票できるのか
- 投票の方法(はがき?新聞紙面の切り取り?)
- 何を基準に投票するのか(文化貢献?知名度?好感度?)
- 上位に入ると何か表彰や栄誉が与えられるのか
といった情報は、紙面からは明らかではありません。ただ、県民参加型の「文化的人気投票」のような趣で、現在の「県民が選ぶ○○ランキング」のようなものに近い感覚かもしれません。
この日の紙面では、投票締切を「三十日午前九時」としており、ちょうど締切日当日の中間報告が掲載されていたことになります。投票はかなり多岐にわたっており、個人名だけでなく団体・企業・施設名も対象になっているのが特徴的です。
例えば――
- 上位には「岩手県立盛岡中学校」や「岩手日報社」、「釜石鉱山」などの教育・報道・産業に関する名も。
- また、映画館「盛岡第一劇場」「花巻活動小屋」などもランクインしており、娯楽文化も投票対象であったことがうかがえます。
さらに注目すべきは、鉄道駅や公共施設、郵便局などもリストに載っている点です。たとえば「宮古郵便局」「盛岡駅」などが見られ、これが「文化」として評価されていたことに、当時の価値観の一端を感じさせます。
なぜこのような投票が行われていたのか、主催は誰なのか(岩手日報社?)、結果発表後に何が起こったのか――は今となっては不明な点も多いですが、昭和初期の岩手の文化的な熱気や住民の関心を知るうえでは非常に興味深い資料といえるでしょう。