盛岡日活で「黒帯有情 花と嵐」「力道山の世界征服」を公開(S 31.4.29岩手日報)

昭和31年4月29日の岩手日報に掲載されたこの広告は、当時の盛岡日活が放つゴールデンウィークの豪華なラインナップを今に伝える貴重な資料です。紙面の構成をよく見ると、連休前半から後半にかけての興行計画が緻密に練られていたことがわかります。

まず、この広告が出た当日である4月29日から公開が始まったのが、刺激的なタイトルで目を引く「浴槽の死美人」です。そして翌4月30日からは、奄美大島を舞台にした時代劇「快傑耶茶坊」の前後篇一挙公開が控えていました。資料によれば、この「快傑耶茶坊」は慶長14年の奄美大島に迫る薩摩藩の侵略を背景に、名和宏演じる主人公の耶茶坊が過酷な運命に立ち向かう壮大な物語です。当時の盛岡の人々は、連休のスタートをこれら話題の新作とともに迎えたことでしょう。

一方で、広告が最も大きく紙面を割いて宣伝しているのは、連休後半の5月3日から始まるメイン興行です。そこには「ゴールデン・ウイーク無敵の豪壮2本立て」として、日活映画とプロレス実録映画の強力なカップリングが据えられています。一方は、葉山良二と芦川いづみが主演し、柔道、柔術、空手が入り乱れるアクション巨篇「花と嵐」。もう一方は、当時の国民的ヒーローであった力道山がアメリカや欧州で世界の強豪をなぎ倒す姿を記録した「力道山の世界征服」です。

昭和31年4月29日は日曜日で、当時の天皇誕生日という祝日でした。翌30日の振替休日を含め、連休前半は「快傑耶茶坊」などの新作で集客し、5月3日の憲法記念日からは満を持して力道山の空手チョップと日活アクションを投入するという、盛岡日活の盤石な興行戦略が読み取れます。現代のように多種多様な娯楽がない時代、新聞広告を眺めながら映画館へ足を運ぶ計画を立てる時間は、当時の盛岡の人々にとって何よりの楽しみだったに違いありません。


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