放火で逮捕された29歳の男「好きな女性(51歳)が冷たくて…」(S28.8.28胆江日日新聞)
1953年8月28日
2026年2月12日
昭和28年8月28日の胆江日日新聞は、1人の男の歪んだ執着が引き起こした凄惨な事件を報じています。

事件の舞台となったのは、現在の奥州市前沢にあたる岩手県東磐井郡生母村。8月16日の夜、この地で発生した大火は、当初から放火の疑いが持たれていました。前沢地区署による懸命の捜査が進められる中、25日に逮捕されたのは、束稲山の峠を挟んで生母村と隣り合っている、現在の一関市東山町にあたる東磐井郡田河津村の29歳の農業を営む男でした。
男が火を放った対象は、生母村に住む51歳の女性の自宅でした。驚くべきことに、この女性は男よりも3歳年上である32歳の男性の実の母親でした。男はこの51歳の女性に対して、以前から深い情を寄せていたようです。しかし最近になって女性の態度が冷たくなったことに男は不満を募らせていました。
事件当日、男は酒を飲んでいる際に女性から帰るように促されたといいます。以前の報道でも指摘されていた通り、その夜の女性の態度は非常に冷淡なものでした。自分に対して冷たくなった女性への恨みを爆発させた男は、その腹いせに女性の家の小屋へ火を放ちました。男はその夜のうちに自らの犯行を自供しており、火元となった女性宅の状況などを検分した結果、犯行の事実が裏付けられ送致されることとなりました。峠を越えて通い詰めた末の、親子ほども年の離れた女性への執着が、村を揺るがす大火へと発展してしまったこの事件は、当時の地域社会に深い衝撃を与えたに違いありません。
