西下台町の放火殺人事件(S40.1.14)

昭和40年1月14日、岩手県盛岡市西下台の新興住宅地で発生した火災現場から、独身男性が殺害された状態で発見されました。被害者は岩手県北部の資産家の息子で、盛岡市西下台にある一戸建てで一人暮らしをしていました。彼はアパート経営と生命保険の外交員を兼業し、地域で信頼を得ていました。頭部に致命的な傷を負い、室内には放火の痕跡が確認されたため、警察は殺人と放火事件として捜査を開始しました。

捜査の結果、犯人は紫波郡紫波町北日詰に住む24歳の無職の男であることが判明しました。犯人は以前、自動車会社のセールスマンとして働いており、被害者が経営していた盛岡市内の自動車修理工場と取引関係がありました。この関係の中で、犯人が被害者を無断で手形の保証人にしたことで損害を与えた経緯があり、これが二人の間で口論の原因となりました。

多額の借金に苦しんでいた犯人は、金銭目的で犯行を計画。1月14日、親類が住む盛岡市本町通りの家から薪割りを持ち出し、被害者宅を訪問しました。その後、口論の末に薪割りで被害者を殴打して殺害し、時計や現金を奪いました。証拠を隠すため、部屋にガソリンを撒いて放火を試みましたが、火災が広がることを恐れ、自ら火を消しました。

犯人は盗品を盛岡駅の手荷物預かり所に預けましたが、本名と住所を記載したことが決定的な手がかりとなり、捜査線上に浮上しました。また、犯行後に犯人とドライブをしていた紫波郡矢巾町の女性の証言や、凶器の薪割りから検出された血痕や毛髪が犯行を裏付けました。取り調べの結果、犯人は計画的な強盗殺人と放火であったことを自供しました。

この事件は、盛岡市菜園や花巻市、北上市などで犯行準備のための道具を購入し、完全犯罪を狙った残虐な計画的犯行として社会に大きな衝撃を与えました。しかし、証拠や関係者の協力により解決し、犯人には無期懲役の判決が言い渡されました。


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