渇水期は停電の季節(S27.10.10岩手日報)

昭和27年10月10日の岩手日報を開くと、そこには現代の私たちが忘れてしまった切実なエネルギー事情が刻まれています。当時の東北地方において、電力供給の主役は水力発電でした。そのため、秋から冬にかけての渇水期はそのまま深刻な電力不足に直結する季節であり、紙面には果敢ないお天気任せといった言葉や、貯水計画の狂いからくる暗い冬への不安が大きな見出しとなって躍っています。

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八戸火力発電所が運転を開始する昭和33年より前のこの時代、地域の経済や生活は文字通り天候に左右されていました。記事に添えられた写真には、停電に備えてランプを買い求める人々で賑わう店先や、限られた電力をやりくりするために戦場のような忙しさを見せる給電指令所の様子が写し出されています。雨が降らなければ電気が止まり、工場も家庭も暗闇を覚悟しなければならないという、綱渡りのような毎日だったことが伺えます。

産業界への打撃も深刻で、電力制限は地域全体の発展を阻む大きな壁となっていました。私たちが今、スイッチ一つで当たり前のように明かりを灯し、安定した電気の恩恵を享受できている背景には、かつて空を見上げて雨を乞うた先人たちの苦労と、その後の火力発電導入による電力の安定化という歴史的な転換点があったことを、この一枚の古新聞は静かに物語っています。


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