「東北のサンモリッツ」田山スキー場が開場(S5.3.4岩手日報)

岩手県北部、秋田県境に近い田山村(現・八幡平市)に、スキー場が開かれた。新聞では「東北のサンモリッツ」と称され、村を挙げての開場行事となったことが報じられている。

田山村は行政上は岩手県に属するが、実際には秋田県花輪とのつながりが深く、小学校長も江刺郡出身ながら花輪経由で赴任していたという。交通の便が悪く、隣の村の子どもたちがスキーを使いこなしているのに対し、田山村ではスキーが普及しておらず、わずか一里(約4km)の道のりで吹雪に命を落とすようなこともあったという。

そうした中、村長がみずからスキーを履き、普及に乗り出した。村人たちは当初「笑い者にする」ほど懐疑的だったが、しだいにその利便性と楽しさに気づき、皆がスキーを始めるようになっていったという。今や「全部スキーヤー」と形容されるほどの広がりを見せ、村は活気に満ちている。

スキー場の完成にあたっては、文化活動をたたえる「文化章」の授与式も行われ、老若男女が雪原に集い、晴れやかな光景となった。嘲笑から始まったスキー文化が、ついには村を変え、雪を味方にする暮らしへと導いたのである。


showa
  • showa

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です