村議の男(29)が復縁目当てに放火
1931年9月30日
2021年11月21日
昭和6年9月30日の岩手日報より。
記事では「世にも浅はか 男のお七 家事手伝いの功を狙って離縁の妻方に放火」とい見出しとなっている。
「お七」とは、井原西鶴「好色五人女」に登場した「八百屋お七」のこと。
八百屋のお七は、江戸の大火で近所の寺で避難生活を送ることになる。
その時に寺小姓の少年と恋仲になった。
しかしそれは避難生活の間だけのことであり、元の生活に戻った時が分かれの時だった。お七はその寺小姓の少年が忘れられない。
あの少年にまた会うためには、また火事になればいいのだ。
そう思ってお七は江戸に火を放った・・・
で、昭和6年の「男のお七」はどのような経緯でどのような放火をしたのか。
その男は29歳で、西磐井郡萩荘村の消防団長もやり村会議員であったというので、村の若い衆の中ではそれなりに名望があったのかもしれない。
そしてこの年の6月頃、一関町から嫁を迎えたが、間もなく実家に帰ってしまった。
復縁の話もしたが拒絶されてしまった。
しかし男は嫁を忘れられない。
それで、火事を起こしてその消火を手伝えば嫁も見直してくれるかもしれない!
・・・と、ついにはその嫁の実家に火を放ったのだという。