第32回目の海軍記念日 岩手では(昭和12年5月27日)
1937年5月27日
2021年12月29日
5月27日の海軍記念日は、日露の戦役で日本海海戦に勝利したことを記念して制定された。
第32回の記念日となる昭和12年のこの日は、岩手県内で以下のことが行われた。
- 盛岡市内各小学校でZ旗の掲揚。
Z旗は前日に盛岡海軍部・岩手艦橋会から寄贈されたもの。 - 岩手県公会堂では講演会と映画会。
講演講師は盛岡出身の予備役中将長沢直太郎、横須賀海兵団中佐千葉次雄。 - 高松の池ではボートレース。
- 尋常小学校の部:①仁王小A、②仁王小B、③下橋
- 高等小学校の部:①仁王、②下橋
- 実業団の部:①師範職員、②艦友会、③高農職員
- 中等学校の部:①盛商、②岩商A、③岩商B
- 宮古でもボートレース。宮古水産学校で講演会。
- 黒沢尻町では郷軍黒沢尻海軍部により黒沢尻小学校で「無条約一年」と題し講演。
- 一関町では八角海軍中将による講演会。
- 福岡町では呑香稲荷神社で記念式典。福岡中学校では田村子爵による講演会。
- 大槌町では各小学校で校長による海軍思想普及の講演会。在郷軍人会による陸上競技大会。
- 釜石町では薬師山忠魂碑前で記念行事。
記事中、何回か出てくる「無条約」というのは、ワシントン海軍軍縮条約が昭和11年12月に執行したことによるもので、昭和8年に日本は国際連盟を脱退、昭和9年12月に日本政府は条約の破棄を宣言、その2年後に失効したというもの。
この後、世界的な軍拡競争に入っていくことになる。
また、県庁ではZ旗を掲揚せず、なおかつ祝賀会も行わないという、陸軍記念日とは打って変わった冷遇ぶりで艦橋会岩手支部や盛岡海軍部会を「せっかく旗を贈ったのに」と憤慨させていた。
この時の海軍大臣は盛岡出身の米内光政であったにもかかわらずこの仕打ちであったこともまた、在郷軍人たちの怒りに輪をかけたのであった。