盛岡日活で「学生野郎と娘たち」「影のない妖婦」公開!(S35.3.1岩手日報)

昭和35年3月1日付の岩手日報に掲載された映画広告を眺めていると、映画が娯楽の王様として君臨していた時代の熱気が鮮やかに蘇ってきます。当時、盛岡日活をはじめとする岩手県内各地の映画館で公開されたのは、日活黄金時代を象徴する豪華な作品群でした。

メインを飾る作品は、名匠・中平康監督が手掛けた青春コメディ、学生野郎と娘たちです。曽野綾子氏の原作を、長門裕之さんや芦川いづみさん、岡田真澄さんといった当時の銀幕スターたちが活き活きと演じています。モダンでスタイリッシュな演出に定評のあった中平監督らしく、学生たちのエネルギーが爆発するような軽妙な一作となっています。

そして、同時上映として併記されているのが、トップ屋取材帖シリーズの第4弾である影のない妖婦です。水島道太郎さん演じる敏腕記者・黒木三郎が、国際的な陰謀に立ち向かうアクションミステリーです。かつての戦友である万里の虎の死を巡る謎、そして背後に潜む肉体密輸団との対決など、娯楽映画の醍醐味が凝縮されています。脚本に星川清司氏、音楽には後に国民的作曲家となる山本直純氏が名を連ねている点も見逃せません。

また、広告の中段にはリッカーミシン提供の総天然色短編、日本民謡風土記の文字も見えます。二本立ての長編映画の合間に、こうした文化映画やニュース映画が流れるのが当時のスタンダードな興行スタイルでした。

広告の下部に記された館名を見ると、盛岡日活を中心に、花巻の文芸座、一関の常設館、久慈座など、岩手県内各地に映画館がひしめいていたことが分かります。テレビが家庭に普及しきる前のこの時代、映画館は街で最も輝く社交場であり、最新の文化に触れられる特別な空間でした。明2日封切という文字の向こう側に、明日という日を心待ちにしていた当時の人々の高揚感が今も息づいているようです。


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