江刺で社会党議員「自民党は徒党政治だ!農家は集団化すべきだ!」(S37.1.12岩手民声新聞)
昭和37年1月12日に発行された岩手民声新聞の第1001号には、江刺市選挙管理委員会や同市婦連、同市労協の共催で江刺市役所の大ホールにて開催された国会報告演説会の詳細が克明に記録されています。会場には市労連や市青協などから約500人の市民が詰めかけ、ベルリン問題など緊張する世界情勢や、行き悩む日本経済、農業の改善といった新年に打ち寄せられる諸問題の分析と政策に対して熱心に耳を傾けていました。
まず千田正氏は、前年9月に国会を代表して欧米16カ国を視察した際に感じた世界情勢や、第39回国会の予算編成などの経緯について述べています。現在の世界情勢はいまやアメリカとソ連の二大勢力のみではなく、西ヨーロッパの各国が手をたずさえて共同市場を進めている現状を指摘しました。現在の世界平和は二大勢力にまかせておくことはできないという考えから、これら西欧諸国が世界戦争を避ける第三勢力の役目を果たそうとしている現状を報告しています。
一方でアメリカ、ソ連、ヨーロッパがそれぞれ経済ブロックを固めた時、日本はどうなるのかという点に危機感を示しています。これら諸国の動きが日本の輸入に圧迫を加えてくることは明白であり、日本経済の窮迫はすでに始まっていると断じました。特に東南アジアや極東地域において、政府が中国との貿易を考えながらも国交改善に踏み切れない現状を批判し、所得倍増政策の見通しの甘さや、前年以来の金融引き締めが中小企業や農民に深刻なシワ寄せを及ぼしている実態を明らかにしています。
自民党の政治については、親分をいただく徒党政治であると厳しく批判しました。予算編成においても実力者といわれる人たちのフン取り合戦が行われており、このような実態では真に国民のための政治はできないと説いています。宮沢賢治の言葉を引用しながら、世界全体が幸せにならない限り個人の幸せはあり得ないという信念を語り、参議院の性格が政党にこだわりすぎる現状を憂慮しつつ、目前の参議院選挙に向けた決意を示しました。
続いて登壇した北山愛郎氏は、新年の挨拶とともに江刺の皆さんがこのような機会を作ったことへの謝意を述べ、党の政策を3本の柱によって進めることを説明しました。第1の柱は日本の平和と中立の確立です。これは憲法の基本理念であり、戦前の日本は絶大な武力を擁しながらも戦争に敗れた教訓を忘れてはならないと主張しています。水爆時代の今日において自衛隊が何の足しになるのかと問いかけ、日本は中立でなければならず、安保条約などの軍事同盟は廃棄して中国とも国交を回復する必要があると訴えました。
第2の柱は民主主義を守ることです。政治の民主主義はまず選挙を公明にすることから始まるとし、現在の教育が地域にあった国の指針に動かされていない現状を批判しました。特に文部大臣が全国学力テストを命令するようなやり方は完全に戦前の姿に戻るものだと警鐘を鳴らしています。
第3の柱として、資本主義から社会主義への転換をはかる党の方針を説明しました。ソ連や中国のように国営にするのではなく、現状のままでは農家が立ち行かなくなるため、農家の共同化が必要であると説いています。そこで党は農業基本法や農業近代化促進法、農業生産組合法を今国会に提案し、農家が共同化に踏み切りやすいようにしたいと考えています。米の販売自由化については、自由化になれば牛乳のように生産者が消費者の間で中間リベートを取られ、出荷価格を叩かれることになり、農民にも消費者にも利益にならないと結んでいます。
