知らない間に結婚してた!?

昭和39年12月20日の岩手日報より。

大阪に住む59歳独身の会社員が、本籍地のある徳島県小松島市役所から戸籍抄本を取り寄せた。

すると、知らない間に妻がいて、子供3人いるということになっている!?

どうやら、昭和24年10月14日に釜石市内の女性と結婚していた、ということになっているらしい。
その戸籍抄本には50歳の「妻」だけではなく、17歳の連れ子、その男性との間に生まれたことになっている15歳と12歳の男の子まで書いている。

一度は面倒になって放っておいたが、一面識もない女性と3人の子供の戸籍を訂正しておく必要があると思い、盛岡地方裁判所遠野支部に、婚姻の事実の向こうを申請し、このほど小松島市役所に受理されたのだという。

その結婚したということになっている釜石の女性に聞いてみると、それは朝鮮人の男だったという。

朝鮮人の男は日本には昭和5年に来て、男性とは小松島市で知り合い、そこで戸籍を利用し昭和20年に岩手県巡査になったのだという。
そして釜石警察署に配属されたのだが、どうも挙動がおかしい。

調べてみると朝鮮人で、日本に来て早々昭和5年に事件を起こして懲役1年の前科者でもあった。
それで昭和21年2月1日に免職になっている。

釜石の女性と知り合ったのは青森県上北郡三沢町で、そこで婚姻届けを出した。
女性に対しては「警察官だったが特高だったので追放になった」と自己紹介していたのだという。

結局、岩手県・青森県で職を転々とし、昭和32年の末に「東京に出稼ぎに行く」と言って行方不明になったのだという。

この朝鮮人の男にとって、日本での「異郷での人生」はどのようなものだったのだろうか。


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