弘前無尽では「宝来定期預金」を募集中(S26.3.21夕刊いわて)
1951年3月21日
2025年7月30日
昭和26年3月21日の「夕刊いわて」紙面に掲載された、弘前無尽による「宝来定期預金」の広告は、戦後の庶民金融と夢を結びつけたユニークな預金商品を伝えています。
この「宝来定期預金」は、昭和26年3月1日から4月30日までの期間に募集されたもので、1口1,000円から預け入れ可能。満期は8ヶ月後に設定されており、なんと預金者には抽選による「賞金」が用意されていました。抽選日は5月12日とされ、「当選すれば10万円が当たる」という夢のある仕組みが特徴です。
広告には、金庫とおぼしきものに「10万円」と大書されたイラストが添えられています。当時の10万円という金額は、現在の感覚ではおよそ300万円から400万円程度に相当すると推計され、庶民にとってはまさに一攫千金のチャンスでした(昭和26年の大卒初任給が約7,000円、米10kgが約500円程度)。
弘前無尽とは、当時の地域密着型の無尽会社であり、のちに「弘前相互銀行」を経て、現在の「みちのく銀行」となります。昭和20年代、各地の無尽会社は戦後の預金動員や信用創出の要となっており、こうした懸賞付き預金もまた、地域金融の工夫の一つとして注目されました。
現在でも、信用金庫や地方銀行では「懸賞付き定期預金」などの形でその流れが引き継がれており、「預けて夢を見る」という昭和の感覚は、現代の預金者にも通じるものがあります。