川徳呉服店「肴町では聯合歳の市をやってますよ!」(S元.12.26岩手日報)

昭和元年(1926年)12月26日の『岩手日報』紙面には、盛岡・肴町で開かれていた「聯合歳の市」の広告が掲載されている。当時の川徳呉服店を中心に、肴町の商店が一体となって年末年始のセールを展開していた様子が伝わってくる。

広告には「十八日より新年三日まで」と右書きで記されており、12月18日から正月三が日にかけて開催された長期の売出しであったことが分かる。今の「初売り」よりも早く始まり、年を越えて続く形で、年末年始の買い物客を呼び込もうとする意図があった。

川徳呉服店では「おつとめ品」として、スコッチ沓下(くつした)、真綿チョッキ、純毛メリヤスなどの防寒衣料を目玉商品として並べていた。いずれも当時としては上等な品であり、贈答用あるいは新年に向けた晴れ着・実用品として重宝されたであろう。

また「商品券」の存在も広告に見られ、呉服商通りで使える共通券として利便性をアピールしていた。こうした制度は、のちの地域商品券やギフト券にも通じるものと考えられる。

さらに、川徳呉服店の別館では、お年用の座布団や布団、夜具、入条非常袋(詰め合わせ袋)など、暮らしの必需品が幅広く取りそろえられていた。年末に家財を整えるという文化も垣間見える。

この「聯合歳の市」は、肴町が単なる商業地ではなく、年の瀬の生活と密接に結びついていたことを示す一コマであり、川徳が地元に根ざした商いを続けていた時代の面影を今に伝えている。

 


showa
  • showa

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です