内丸座で「カラボタン」「ロイドの初恋」公開!
1927年1月7日
2025年7月29日
昭和2年1月7日の岩手日報より。
この日から盛岡の内丸座では「カラボタン」「ロイドの初恋」など複数作品の公開が始まった。
「カラボタン」は1926年(大正15年)8月30日に松竹キネマ蒲田撮影所で製作された無声映画で、監督は野村芳亭。主演は諸口十九と筑波雪子。脚本は野村芳亭と村上徳三郎、原作は柴田端子と寺尾幸夫による。新入社員が社長の空ボタンを巡る一件で出世し、しかし妻との喧嘩から家出騒動になり、やがて和解するという夫婦コメディである。大正15年度のキネマ旬報ベスト・テンで第5位に選ばれた。
「ロイドの初恋」は1924年製作、原題は「Hot Water」。アメリカのハロルド・ロイド・コーポレーション製作で、監督はフレッド・ニューメイヤーとサム・テイラー。主演はハロルド・ロイド。ロイド映画としては珍しく、結婚後から物語が始まる。第一部では電車内で七面鳥を抱えて騒動を起こし、第二部では新車の運転で警官と揉め、第三部では義母にクロロホルムを使いすぎて殺してしまったのではと怯えながら逃げ回る。短編三本を繋げたような構成だが、ギャグのテンポと複線の巧妙さが際立ち、決して地味ではない秀作と評されている。
当時の内丸座では、邦画と洋画を並列に上映することが一般的であり、観客にとっては多彩な娯楽を一挙に味わえる場でもあった。