花巻の台温泉に特設電話局が開局・電話番号一覧(S元.12.26岩手日報)
1926年12月26日
2025年7月29日
昭和元年12月26日の岩手日報に、花巻温泉郷の一角・台温泉に特設電話局が開設されたという記事が掲載された。あわせて、当時の電話加入者の一覧も紙面に掲載されている。
この「特設電話局」とは、明治35年から昭和7年まで実施されていた制度で、都市部以外の地域において、住民が設置費用を一部負担することで開局が可能となる仕組みであった。当時、地方では電話の設置が大きく後回しにされていたため、この制度は特に温泉地や観光地、農村などにとって重要な通信インフラ整備手段となっていた。
台温泉も例外ではなく、観光業を背景にこの制度を活用し、地元有志の資金によって特設電話局が設けられたものである。記事に掲載された加入者名簿には、旅館や商店、地元名士の名前が並んでおり、電話番号の割り振りとともに地域の社会構造の一端を垣間見ることができる。
この特設電話局制度については、箱根温泉が以下のページで詳しく解説している。
当時の温泉街にとって、電話は予約や連絡の手段として重要な役割を果たしていた。台温泉における特設電話局の開局は、地域の近代化の象徴であると同時に、通信と観光が交差する時代の風景を今に伝えるものである。