スキーのシーズン来る!ウインタースポーツメンは花巻温泉スロープへ!(S元.12.27岩手日報)
1926年12月27日
2025年7月29日
昭和元年12月27日の岩手日報には、花巻温泉のスキー場が掲載した興味深い広告が載っていました。
「花巻温泉スロープ」と銘打たれたこの広告では、冬の到来とともに「ウィンタースポーツメンを歓迎します」とうたい、温泉地ならではの新たな魅力としてスキー場の整備をアピールしています。なお、当時は「ゲレンデ」という言葉は一般的ではなく、「スロープ」と表記されていたことがわかります。
文中では、新たに設けられたスロープが「斯界の権威者から推奨されています」とあり、専門的な立場からも評価されていたことがうかがえます。また注目すべきは、「第二スロープには電燭を設備しました」という記述。これは現在で言う「ナイタースキー」、つまり夜間滑走のための照明設備を備えていたことを意味します。昭和初年の時点でナイター設備を整えていたのは、かなり先進的な取り組みだったと言えるでしょう。
さらに、温泉からスロープまでは便利に接続されていることや、宿泊客向けに「射的・ピンポン・ビリヤード」などの娯楽も充実していることが紹介されており、単なるスキー場ではなく、滞在型のリゾート地としての花巻温泉の姿勢がうかがえます。
温泉とウィンタースポーツの融合を目指した、昭和初期のリゾート構想。その先駆けともいえる花巻温泉スロープの試みは、当時のスキー文化と観光戦略を知る上でも貴重な一例です。