汽笛のまにまに 盛岡駅の24時間

昭和30年11月13日の岩手日報では、盛岡駅の24時間を1ページ内の写真で大々的に報じている。

盛岡駅はまだ「民衆駅」ですらなく、木造駅舎だった時代である。

盛岡駅の朝は、担ぎ屋のおばちゃんから始まる。
20貫(75kg)もの荷物を担いで数里の道も歩くのだという。

彼女たちは、「どっこいしょ」と座って、即席のマーケットを開く。

そして8時になると、朝のラッシュアワーとなり、1日平均2万人の乗降客の7割がこの時間に集中するのだと言う。

そして、この時点でまだ人力車は数回残っていたと言う。
「まんず一度乗ってみてくなんせ。そごらのボロタクより乗り心地は良がんすよ」

夜になると、駅のベンチは浮浪者や旅館に泊まれなかった人たちで溢れると言う。

ドアの向こうでは2等待合室があり、ソファーもスチームもあり、花巻までの2等切符を買って一晩泊まって翌朝料金を払い戻すと言う知恵もあったのだという。

 


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